関西電力の役員らが元助役から多額の金品を30年以上にわたり受領
関西電力の役員らが高浜原発のある福井県高浜町の元助役、森山栄治氏(故人)から多額の金品を受け取っていた問題で、関電の全額出資子会社「関電プラント」(大阪市)が30年以上にわたって森山氏と非常勤顧問の契約をし、報酬を支払っていたことが1日、分かった。また同社は森山氏と関係の深い高浜町内の建設会社に、少なくとも1億5千万円の工事を発注していた。
元助役は利益が相反する発注者、受注者の双方と親密な関係にあったうえで、関電役員らに金品を渡していたことになる。
関電プラントの担当者は取材に対し、昭和62年頃から昨年12月まで森山氏と非常勤顧問の契約を結んでいたとし、「高浜町の状況を知るために、現地有識者としてアドバイスをもらっていた」と説明した。森山氏が関電プラント本社を訪れることはなく、同社幹部が高浜町を訪ねた際などに面会し、意見を聞いていたという。
顧問の報酬額は明らかにせず、「常識的な範囲」で支払っていたとだけ説明した。
一方、元助役が地元の建設会社と関係が深かったことは「認識がなかったと思う」(担当者)とし、工事契約などで便宜を図ったことはないとの見方を示した。
昨年12月に顧問契約が終了したのは、森山氏の体調が悪化したためという。森山氏は今年3月に死去した。
関電プラントは原子力発電所の発電設備の点検や修繕、火力発電所の設備建設などを担う、関電の主要子会社の一つ。従業員約1400人、平成31年3月期の売上高は530億円。会長は関電役員出身者が就き、関電の八木誠会長が監査役を務めていた。
関電 元助役の自宅にメモ 金品提供先・金額など記載
関西電力の役員などが、福井・高浜町の元助役から多額の金品を受け取っていた問題で、元助役の自宅から、金品の提供先が書かれたメモなどが見つかっていたことが、関係者への取材でわかった。
関西電力は、八木誠会長や岩根茂樹社長など20人が、原子力発電所がある福井・高浜町の森山栄治元助役から、あわせておよそ3億2,000万円もの金品を受け取っていたと発表した。
しかし、社内で実施した調査の詳細について、会見で明らかにしなかったことに、批判の声が集まっている。
関係者によると、金沢国税局が税務調査を行った際に、元助役の自宅からは、金品の提供先や金額などがくわしく書かれたメモや、帳簿などが見つかっていたことが新たにわかった。
このメモなどをもとに調査を進めたところ、関西電力の役員の自宅などから、リストに記載されていた金品が見つかったという。
関西電力は2日、八木会長と岩根社長があらためて会見を開き、金品を受け取った20人全員の氏名や、社内調査の内容をすべて公表する方向で調整を進めている。