大発会、一時500円超安 中国経済の悪化懸念
今年最初の取引となる大発会を迎えた東京株式市場は4日、昨年末の米株下落や中国経済の悪化懸念を受けて大幅反落した。日経平均株価はほぼ全面安の展開となり、昨年最後の取引日(12月30日)の終値と比べた下げ幅は一時、500円を超え、1万8400円台まで下落。約2カ月半ぶりの安値となった。
日経平均株価は、昨年末の米株安を嫌気して取引開始直後から売りが広がった。4日午前に発表された中国製造業の経済指標が悪化すると、中国の主要株価指数である上海総合指数が急落、東京市場も売り注文が膨らんだ。東京外国為替市場では安全資産とされる円が買われ、円相場は一時、1ドル=119円台半ばまで上昇し、約2カ月半ぶりの円高水準をつけた。3日にサウジアラビアがイランとの外交関係を断絶する方針を明らかにしたことも「株安に拍車をかけた」(大手証券)。
昨年末の日経平均株価は、年末終値としては19年ぶりの高値となる1万9033円71銭で取引を終えた。しかし、12月31日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は、原油価格の下落など世界経済のリスク要因を嫌気して大幅安となり、終値は年初から2.2%下落。NYダウが通年で下落するのは、リーマン・ショックが起きた2008年以来、7年ぶりだ。
市場では、円安の恩恵を受ける輸出企業を中心に業績が堅調なことから、「景気回復色が強まり株価は上昇する」との見方がある。ただ、今年は米国の追加利上げも予想され、みずほ証券の倉持靖彦投資情報部長は「中国経済の減速懸念は払拭(ふっしょく)されていない。米国の利上げペースや原油価格の動向次第で世界経済が混乱し、株価が下落するリスクがある」と指摘する。
東京証券取引所では4日朝、大発会の式典があり、東証を傘下に持つ日本取引所グループの清田瞭最高経営責任者(CEO)が「昨年は15年ぶりに日経平均が2万円の大台を回復し、市況は総じて堅調な1年間だった」と振り返った。一方で清田氏は、昨年に新規上場企業による不適切会計などが発覚したことを踏まえ、「安心して投資できる適切な市場規律を保つことが不可欠だ」と指摘、上場審査の強化に引き続き取り組む意向を示した。