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新幹線の「浜松駅」は存在しないはずだった?

pr_master_880-0262 掛川駅を過ぎ、天竜川を渡った東海道新幹線は、右手に浜松アクトタワーを見て浜松駅に差しかかる。「のぞみ」に乗ると、列車は少しだけ減速して左にカーブし、ホームを過ぎたところで今度は右にカーブする。車体がグーンと傾き、思わず足に力が入る瞬間だ。

 東海道新幹線の曲線は、首都圏などの例外を除き、原則半径2500m以上と決められている。これは、線路の曲線部分を円周に見立てた場合の半径で、昭和30年代の建設時に、将来の時速250km運転を想定して決められた。技術が進歩した今は、最新車両のN700Aなら時速285kmで通過できる。

 さて、浜松駅手前の左カーブは半径2200m。日本坂トンネル付近から断続的に最高速度で運転してきた「のぞみ」は、ここで時速220km前後に減速する。続く右カーブは半径2500m。このS字カーブには、東海道新幹線建設時の苦労が詰まっている。

■ 浜松駅は通らない予定だった

 当初の構想では、東海道新幹線は天竜川をやや斜めに渡り、現在の市街地の1.5kmほど南を築堤で通過するはずだった。当時すでに浜松駅周辺には家屋が密集しており、また在来線もカーブしているため、浜松駅に新幹線の駅を設置するのは難しいとみられていたのだ。

 市中心部を避けた新幹線は、浜松駅から2kmほど西の国鉄浜松工場の近く、現在のJR貨物西浜松駅付近で東海道本線と交差。ここに「浜松新駅」を設置する計画だった。これを南線案という。

 これに異議を唱えたのが、浜松市を中心とした沿線自治体だ。新幹線が市の中心部を通らず、しかも、これから発展が見込まれる南部を築堤で分断されては、浜松市にメリットがほとんどない。

 そこで、対案として天竜川から浜松駅を経由し、当初の計画よりも約1km北の佐鳴湖南岸を通って浜名湖に至るという北線案が提唱された。この案では、浜松駅前の繁華街を通過するため590戸の立ち退きが必要であり、高架線を含め20億円もの建設費の増額が必要だった。

 浜松市はこの増額分を自ら負担する用意があると申し入れるほど熱心だったが、今度は北線案の沿線住民が強い反対運動を起こした。浜松付近のルート選定は暗礁に乗り上げ、1964(昭和39)年の開業時期に間に合わないのではという声も聞こえるほどだった。

 浜松の西、浜名湖をどうやって越えるかも問題だった。当初の計画では、新幹線は在来線の1km北を通り、浜名湖は大規模な高架橋で一気にまたぐはずだった。だが、浜名湖は全国有数の牡蠣や海苔の養殖地。周辺では、鰻の稚魚を養殖する養鰻業も盛んで、これらの業者が求める補償金が莫大な金額となっていた。結局、浜名湖をひとまたぎする計画は頓挫し、在来線に並走して弁天島を渡るルートに決定した。

■ ギリギリの綱渡りで開業

 さて、浜名湖で当初案を放棄した結果、浜松駅付近でも当初の南線案にこだわる必要は薄くなった。用地買収をスムーズに進めるためには、自治体の協力が不可欠だ。そこで、1961(昭和36)年、国鉄は浜松市の要求を受け入れて浜松駅経由を決定。さらに、在来線と並走することになった浜名湖へ無理なくつなげるため、浜松駅の西で南線案に近いルートを採用することになった。

 こうして二つのルートをくっつけた結果、浜松駅の前後にS字カーブが生まれ、さらに浜松駅の新幹線ホームも在来線ホームからかなり離れた場所に設置されることになった。浜松市内の建設工事がようやく着工したのは1962(昭和37)年9月。開業まであと2年という切羽詰まった時期だった。

 その後も、十数軒の飲食店が立ち退きを拒むなど浜松市内の建設工事は難航を極めたが、市当局の全面的な協力で、ギリギリ開業に間に合うのである。東海道新幹線の建設工事は、各地でこうした綱渡りがあった。

 新幹線と在来線が離れた浜松駅の特殊な構造は1979(昭和54)年の浜松駅高架化完成によって解消したが、新幹線のS字カーブはそのままだ。天竜川から浜松駅を経て浜名湖に至る約20kmの区間には、大小14のカーブが連続しており、そこには建設費を抑えつつ工期を間に合わせる、さまざまな苦労が隠れている。

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【最終更新日】  2016年5月27日(金)

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