肉フェスで食中毒157人 “生肉騒動”再燃か
ゴールデンウィーク中に開催された人気フードイベント「肉フェス 2016春」。会場となった東京・お台場と福岡で男女合わせて157人が食中毒を発症する事態となった。
すべての患者が口にしたのが「ハーブチキンささみ寿司」と「鶏むね肉のたたき寿司」。軽く火の通った鶏肉を寿司仕立てにしたものだが、保健所の検査の結果、カンピロバクター菌が検出された。これにより、<ユッケ、レバ刺し騒動、再び!?>という事態も懸念されている。
2011年、焼き肉チェーン店が提供したユッケ肉が原因で、腸管出血性大腸菌O111による集団食中毒が発生。5人が死亡した。社長の号泣土下座謝罪も大きな話題を集めたが、この事件を機に、「レバ刺し」や「ユッケ」が、料理店から姿を消した。
今回の集団食中毒の影響で、今度は「鶏刺し」や「鶏わさ」が姿を消してしまう可能性はあるのだろうか。
厚生労働省は現在、牛レバーと豚肉・豚レバーの生食用としての販売・提供を禁止し、他にも<生食用の牛肉については、表面から深さ1cm以上の部分の加熱(60℃で2分間)>などを義務づけ、加熱を推奨するが、法的な強制力はない。
今回の鶏肉による食中毒の影響を厚労省基準審査課に尋ねたところ、「O157やO111のように、直ちに生命を左右する症状につながるものではないため、現時点で対応するとすれば、微生物の低減などリスクを下げることや、基準を設定するかどうかなどの検討になります」と言う。ただし、食中毒が発生した場合は、食品衛生法に基づく罰則が科せられる。
郷土料理として鶏刺しが広く親しまれる鹿児島県では、安全性にはきわめて注意している。県生活衛生課は「県独自の生食用鶏肉の安全基準を設けており、それに沿って県が認可した業者が処理、流通しています。消費者の方もそういったお店で求めますので、安心して召し上がっていただけていると思います」。
今回の事態を受け、イベント会社は6月に秋田と青森で予定されていた「肉フェス」の中止を発表した。
「(ユッケのように)いきなり禁止ということはないと思いますが」と厚労省監視安全課は言っていたが、梅雨も間近に迫り、食中毒の危険性もグッと増す。リスクは「自己責任」の範疇となるのでご注意を。