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特命米軍機、サミットで来日 「エアフォース・ワン」の陰で「最悪」想定

「エアフォース・ワン」の陰に隠れた飛行機
pr_master_880-0324 2016年5月26日(木)より開催された「G7伊勢志摩サミット」。その前日の夜には、オバマ米大統領の専用機VC-25、いわゆる「エアフォース・ワン」が中部国際空港に飛来しました。またオバマ大統領の来日に先立ち、大統領専用ヘリコプター「マリーン・ワン」(VH-3D、VH-60N)が、C-17「グローブマスターIII」大型輸送機によって航空自衛隊の小牧基地(愛知県)に持ち込まれています。

「エアフォース・ワン」および「マリーン・ワン」はTVニュースなどにおいて大きく取り上げられたので、知っている人も少なくないでしょう。その一方で、全く話題になっていませんが、実はもう1機種、ある特命を帯びアメリカ本土から来日した飛行機がありました。

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 その飛行機とは、アメリカ空軍のボーイングE-4B「NAOC(国家空中指揮機)」です。E-4Bの原型は、大統領専用機VC-25と同じボーイング747-200「クラシックジャンボ」であり、塗装もよく似ています。大統領の外遊時には必ず「エアフォース・ワン」に同行し、今回のオバマ大統領来日においても、5月22日(日)には在日米空軍の嘉手納基地(沖縄県)に飛来していました。

「アメリカ」をたった1機で指揮可能 想定される「最悪の事態」でも
 E-4Bは「国家空中指揮機」という名のとおり、ワシントンDCに代わってアメリカ軍の指揮や行政を担うことが目的の飛行機です。機内はバスケットボールコートよりもやや広い床面積に、アメリカ国家安全保障局オフィス、会議室、戦闘幕僚オフィス、通信室、休憩室、寝室、キッチンが設けられ、最大112名が搭乗。アメリカの国家中枢機能、特に大統領、国防長官、国防総省統合参謀本部の業務や権限を、空中において実行するための能力を有します。

 平時においては基本的に、E-4Bは使われません。アメリカ本土で歴史的な国難が生じた場合にのみ、その能力をフルに発揮します。たとえばアメリカ大統領が来日中、本国が大地震によって未曾有の大被害に見舞われた場合、大統領はVC-25ではなくE-4Bに搭乗し、本国へ帰ることになります。VC-25も指揮能力に優れた飛行機ですが、E-4Bには及びません。

 このE-4Bの使用を想定した最悪の事態が、「全面核戦争」です。他国の先制核攻撃によってワシントンDCが消滅し、大統領以下首脳陣がことごとく死亡してもなお、大統領権限継承順位における最上級者らがこれに搭乗し、米軍を指揮して報復核攻撃を確実に実施します。

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全長6kmのアンテナを持つ飛行機、その目的は…
「報復核攻撃」という最悪の事態にも対応するためE-4Bは、核爆発時に生じる電磁パルス対策が極めて厳重に施されているほか、12時間の滞空時間に加え、空中給油によって最大72時間の作戦能力を持っています。

 さらにE-4Bは確実に指揮を行うため、あらゆる波長帯への強力な通信能力を備えています。機体上部の特徴的な突起の内部には衛星通信アンテナを格納。また機体尾部には海中の原子力潜水艦に報復核攻撃指令を伝達するための、全長6kmにも及ぶ超長波アンテナを格納しており、E-4Bは必要に応じてこの長大なアンテナを展開し、曳航することができます。

 アメリカ以外の国においてE-4Bのような空中指揮機を導入する例はほとんどなく、唯一ロシアのみが、ソビエト連邦時代からイリューシン社のIl-80という同種の空中指揮機を導入。「全面核戦争」へ備えています。

 E-4Bは4機がアメリカ空軍へ導入されており、365日24時間、つねに万一の場合に備えてアラート(警戒)待機しています。E-4Bはまさに“アメリカらしい飛行機”の代表格といえるのではないでしょうか。

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【最終更新日】  2016年5月29日(日)

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