診療報酬不正強要、大阪府警OBら6人を詐欺容疑で逮捕
歯科医院の診療報酬不正、逮捕者13人に
2016年7月11日
大阪市浪速区の歯科医院の診療報酬不正請求事件で、大阪府警は9日、大阪市東淀川区豊新の建設作業員(40)を詐欺容疑で逮捕した。別の詐欺容疑でも新たに1人を逮捕し、逮捕者は計13人になった。
発表では、大田容疑者は、医療法人理事長(45)(6月27日に逮捕)と共謀。2014年11~12月、賀川容疑者が経営する歯科医院で、女性を診察したとする虚偽のレセプトを作成し、計約1万6000円を詐取した疑い。
大阪市浪速区の歯科医院(閉鎖)で診療報酬が不正受給された詐欺事件で、大阪府警は27日、医院を運営する徳島市の医療法人理事長、賀川幸一郎(45)=徳島市=と、府警OBの元巡査部長、今野作治(56)=大阪府豊中市=の両容疑者ら計6人を詐欺容疑で逮捕した。今野容疑者が不正受給の指示役だったとみられる。府警は他に6人の逮捕状を取って行方を追っている。
逮捕容疑は昨年9月、賀川歯科医院難波診療室で、実際は治療を受けていない4人を治療したとする偽の診療報酬明細書を作成。診療報酬を架空請求し、約14万円の報酬を詐取したとしている。
府警によると、今野容疑者やその知人らが昨年7~8月に医院を訪れた患者約50人分の保険証を悪用して架空請求するなどし、計360万円の診療報酬を詐取したとみられている。同年7月以降は医院に医師はいなかったが、必要のないレントゲン撮影をするなどして診療記録を作成し、その後も何度も診療したように装って不正請求を繰り返していたという。
賀川容疑者は普段は徳島市の歯科クリニックで診療していたが、今野容疑者らの要請で、診療報酬の請求内容をチェックして不正受給に関与したとみられている。
医院は2006年春に開院したが、数年前から経営難に陥っていた。今野容疑者らが医院の運営への関与を強める中、歯科医師らが昨年7月に退職。その後は今野容疑者が知人らを送り込んでおり、事実上医院を乗っ取った状態だった。
歯科医「警察関係を装う団体に3千万円」 診療報酬不正
大阪府警の元警察官らが休業中の歯科医院を舞台に診療報酬約14万円をだまし取ったとされる事件で、詐欺容疑で逮捕された歯科医が「元警官のグループとのトラブル解決に向け、警察との関係を装う団体に約3千万円を支払った」と話していることが、捜査関係者らへの取材でわかった。府警は多額の支払いで歯科医院の経営が傾き、犯行につながった可能性があるとみて、金の流れを調べる。
府警が逮捕したのは、元府警巡査部長で健康食品販売会社長の今野作治(こんのさくじ)容疑者(56)=大阪府豊中市=、歯科医で医療法人「賀川(かがわ)歯科医院」理事長の賀川幸一郎容疑者(45)=徳島市=ら男女9人。ほかに同容疑で3人の逮捕状を取った。
刑事特別捜査隊によると今野、賀川両容疑者らは昨年9月、患者4人を治療したとする架空の申請書を作り、社会保険診療報酬支払基金から約14万円の診療報酬を詐取した疑いがある。
路上でカネ奪い合い、捜査の発端に 元警官ら詐取疑い
元大阪府警巡査部長らが診療報酬を詐取したとされる事件。「金を奪われ、車で持っていかれた」。捜査は、昨年10月21日午後8時53分のこんな100番通報で、本格的に始まった。
捜査関係者らによると、歯科医院の口座にはこの日、架空請求によるとみられる昨年7~8月分の診療報酬約360万円(約50人分)が振り込まれた。医院を経営する賀川幸一郎容疑者(45)は出金後、医院近くの路上で取引先の女性コンサルタントのグループに渡したが、すぐに元巡査部長の今野作治容疑者(56)のグループが奪うように持ち去った。コンサルタントは直後に110番通報。多数の浪速署員が現場に駆けつけ、騒然となった。
捜査関係者らによると、今野容疑者は「借金返済」、コンサルタントは「コンサル契約料」をそれぞれ主張し、出金した報酬を受け取りに来ていた。コンサルタントは現金を受け取り、かばんに入れて車に積んだ。今野容疑者は車の窓から手を突っ込み、かばんのファスナーを開けて現金を持ち去った。賀川容疑者は被害届を出していない。
今野容疑者 暴力団捜査専門、懲戒処分後に依願退職
今野容疑者は府警本部や警察署刑事課で暴力団捜査に関わっていたが、在職中から暴力団関係者などと親密な交際が指摘されていた。ある捜査関係者は「複数の暴力団組員と親しくしていた。捜査対象者から現金も借りていた」と明かす。
曽根崎署に勤務していた2002年7月、不動産会社社長と金銭の貸し借りなどが発覚し、不適切な交際があったとして懲戒処分されて依願退職した。社長から大阪市内のホテルで飲食の接待を繰り返し受けていた。