三菱自と日産、大幅値引き対応か 「軽」受注再開も険しい道のり
三菱自動車と日産自動車は1日、燃費データ不正が発覚した4月20日から生産・販売を停止していた軽自動車の注文受け付けを再開した。生産する三菱自の水島製作所(岡山県)も4日に軽のラインを再稼働し、販売店は5日から納車を始める。両社は主力軽の販売回復を目指すが、大幅な値引きなどの販促策を迫られる公算が大きい。
受注を再開したのは三菱自の「eKワゴン」「eKスペース」と、供給先の日産の「デイズ」「デイズルークス」の計4車種。約2カ月半ぶりにeKワゴンを店先に並べた三菱自の販売店員は「カタログも届いていない」と戸惑いの表情で語った。燃費値を修正したカタログが届く15日までは、タブレット端末を使って商談を行うという。
両社にとって軽自動車は国内での主力車種。販売停止で三菱自の6月の普通車を含む販売は前年同月比51.8%減、日産も26.7%減と大幅に落ち込んだ。三菱自は早期の販売再開に向けて国土交通省に燃費の修正値を6月21日に届け出た。販売を再開した車種の修正値は、従来のカタログ値に比べ、最大で16%程度悪化した。
受注再開で販売店は巻き返しを期すが、イメージが悪化し、燃費値も悪化したモデルの販売回復の道のりは遠い。販社幹部は「値引きなどで対応せざるを得ないだろう」と打ち明ける。
また、水島製作所は停止していた軽生産を週明けに始める。設備を点検しながら順次生産ペースを上げ、20日から本格稼働する。当面は1日約250台を生産する計画だ。三菱自では、燃費不正問題の発覚後、2カ月以上にわたって水島製作所で軽自動車生産が停止。従業員の自宅待機や2次下請け会社の経営破綻など影響が広がっていた。
三菱自の益子修会長は1日、水島製作所がある岡山県倉敷市の伊東香織市長と会談した。益子会長は「今回の問題でご迷惑をおかけしました」と謝罪し、「信頼を取り戻して地域経済に貢献したい」と述べた。