マイナンバー!運営システムに欠陥 機構、原因開示を拒否
マイナンバー制度の運用が始まる中、カード発行を担う地方公共団体情報システム機構のプログラムに誤りがあったことが31日、分かった。システム不備が確認されたのは初めて。関係者が明らかにした。東京都葛飾区のマイナンバー通知カード約5千世帯分が未作成だったにもかかわらず、機構のシステム上では正常終了と認識されていた。機構は誤りを修正したが、区に対し具体的なミス原因の情報開示を拒否。総務省は本体カード配布で同じミスが発生することを危惧してシステムの再点検を指示したが、機構の隠蔽(いんぺい)体質が早くも浮き彫りになった。
関係者によると、機構が平成27年10月、葛飾区から持ち込まれた住民データを「継続サーバー」から「管理サーバー」に移行した時にシステムが一時停止した。その際、実際にデータ処理が行われていなかったにもかかわらず、機構のコンピューター端末上では「終了」と表示されていた。葛飾区分のデータ移行を表すメモリー容量の変化もモニター上で確認済みで、システム上は正常に作動したことになっていた。結果、データのない通知カードは印刷されず、住民に郵送されなかった。
ただ、機構は「手順通りに業務を行った」(関係者)とも証言。職員の動向を捉えた監視カメラの録画を秘密裏に確認したところ、不正はなかったという。
一方で葛飾区にはプログラム上、「終了」を受け機構から専用線で送信されるはずだったデータ移行完了を示す「登録」通知が届かず、実際の状況を正常に反映していた。
機構は産経新聞の取材に対し、システムの不具合の具体的な原因について「特定したが、セキュリティー上の理由から言えない」としている。被害を受けた葛飾区も機構に説明を求めたが、拒否された。
高市早苗総務相は同年12月8日の記者会見で、システム上の原因について「解析を行っている」と述べるにとどめていた。機構のネットワークシステム構築を担ったのは情報通信関連企業5社。うち3社が関与を否定し、2社が「言えない」としている。
機構は26年、マイナンバー業務など公的個人認証業務を専門に行う「地方共同法人」として発足したが、秘匿性の高い個人情報を取り扱うため、省庁や地方自治体のように情報公開制度の対象になっていない。