二階堂ふみ、スキャンダルをものともしない女優としての“純度”の高さ
主演映画『蜜のあはれ』『オオカミ少女と黒王子』『ふきげんな過去』、ヒロイン役の『SCOOP!』、メインキャストとして出演する『何者』と、今年だけで大作映画が目白押しの売れっ子・二階堂ふみ。一方で、女優業だけではなく、菅田将暉との交際が報じられるなど、プライベートの話題にも事欠かないお騒がせっ子としても知られる。これまでも新井浩文、オカモトレイジ、星野源との交際が次々と噂されてきたが、本人は意に介する様子はもなく、マイナスイメージも付いていない。21歳にして堂々とした振る舞いのバックボーンには、女優としての純度の高さがある。
若手女優がためらうような体を張る演技に躊躇もなく踏み込む
沖縄出身で地元のフリーペーパー『沖縄美少女図鑑』に載ったのがきっかけでスカウトされた二階堂は、2011年に映画『ヒミズ』(園子温監督)でヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)を染谷将太とともに受賞。その後、『悪の教典』『地獄でなぜ悪い』『四十九日のレシピ』など大作映画に相次ぎ出演した。
とくに2014年公開の主演作『私の男』では、当時10代にして、実の父親と自ら男女関係になる役を演じて衝撃を呼んだ。昨年公開の『この国の空』では、戦時下に妻子持ちの男性と初めて肉体関係を持つシーンに臨み、背中からのヌードを見せている。『蜜のあはれ』でも金魚が変貌した小悪魔な少女という役どころで、老作家に妖艶に迫る。
ドラマでも『Woman』(日本テレビ系)での心に闇を抱えた役で、当代きっての実力派・満島ひかりと渡り合ったりしているが、二階堂が引っ張りダコな理由は極めて高い演技力はもちろん、20歳前後の女優なら反射的にためらうような演技に何の躊躇もなく踏み込むことが大きい。デビュー当時から「役に入るという概念はないです。役のキャラクターが“あたし”という体や声を使っているだけ」と発言していて、演技で自身を“きれい”に見せることには関心がないようだ。
ゴシップもどこ吹く風、最近では珍しいたくましく清々しいスタンス
相次ぐ交際報道で“恋多き女”“新・魔性の女”などと言われているが、映画であれだけ色気のあるところを見せて、何の恋愛経験もないとしたら、かえって不自然に思える。清楚な役しかやっていなければイメージダウンになることもあるだろうが、二階堂はそうならない。実際に仕事は増えるばかりだ。
そもそも本来、女優は演じるのが仕事であって、プライベートがどうだろうと関係ない。もちろん現実にはそうも言ってられず、とくに若手女優はアイドル的側面があって、交際報道でファンが離れて人気が落ちれば、キャスティングから不利になる。だが、二階堂の演技者としての純粋な実力は、プライベートと無関係に求められるはず。そこは本人も自信を付けたところかもしれない。
今年に入って『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の名物コーナー「ゴチになります!」の新レギュラーになり、「知名度を広めたいと思いまして」と話していたが、初のバラエティ進出も、女優として揺るぎないものがあってこそ。1浪して慶応大学に入学したり、自らのディレクションでアーティスティックな写真集を出したりと、我が道を行く二階堂。菅田らとの交際の本当のところはわからないが、イメージを気にかけて恋愛をセーブすることはなさそうに思える。
ゴシップもどこ吹く風で、女優として作品に出れば最高のものを見せる。最近では珍しいそのスタンスはたくましく、清々しくすらある。観る側も作品で魅せてくれればいいと思えてくる。すべてがまさに彼女の知名度を上げるとともに、生粋の女優力をさらに強める糧になりそうだ。