発祥地大阪でカプセルホテルが進化 外国人や女性向けに
カプセルホテルの発祥地・大阪で、外国人旅行者や女性客をターゲットにした新しいタイプのカプセルホテルが相次いで登場している。背の高い外国人が泊まれる長いカプセルや女性同士で泊まれるツインルーム、ジムやプールを完備する施設も。大手企業の採用選考が今月1日から解禁されたが、就職活動生を迎える長期滞在型プランも注目を集めている。誕生から37年たった今、客層も様変わりしている。
カプセルホテルは1979年、建築家の故黒川紀章氏の監修で日本で初めて大阪・梅田に誕生した。ビジネスマンの利用が大半だったが、最近は外国人や観光客の利用が急増している。
大阪でサウナ施設を展開する「ニュージャパン観光」は2014年、急増する外国人観光客を狙った男性専用のカプセルホテル「カバーナ」(1泊4,100円~)を、観光名所の道頓堀(大阪市中央区)で開業した。背の高い欧米の男性でもゆったりとくつろげるように、カプセルの奥行きや幅などを従来より約10センチ広くした。ジムやプールのほか、1階では職人が握るすしも味わえる。日本人常連客のカプセルを確保するため、海外からの予約を6割程度に制限するほど外国人旅行者に好評だ。
5月下旬、オランダから観光に訪れた会社経営者のマイケル・ボリングスさん(25)は、カプセルの中で長い足を伸ばしてくつろいでいた。各地のカプセルホテルを泊まり歩いているというが、「身長188センチだけど、ここはゆったりできる」と満足そうだった。
観光客が集う黒門市場(同区)のそばでも今年4月、「シェルネルなんば」(同3,800円~)がオープンした。ターゲットは働く30代の女性で、カラフルな館内着や清潔感にこだわった。カーテンで仕切ったツインルームは友人同士での利用もでき、特に若い世代に人気がある。
就職活動で大阪を訪れる大学生も安さと利便性に注目する。7泊で17,550円の滞在プランを提供する「サンプレイン長堀」(同区)では、プリンターがあるインターネットスペースやアイロンの貸し出しもある。メーク落としや化粧水もそろい、女子大学生に好評だ。周囲には企業も多く、社長の佐藤可奈さん(47)は「落ち着いて面接に臨んでもらえるはず」と自信を見せる。
観光庁によると、15年の大阪府の客室稼働率は85.2%と全国トップ。カプセルホテルは今後も、新しい客層やビジネスマンの受け皿として活気づきそうだ。
ニュージャパンカプセルホテル カバーナ店 |
Shell・Nell namba(シェルネルなんば) |