都心から1時間!まるでジブリの世界と話題の秘境
「都心から1時間で行ける“秘境”」「まるでジブリの世界」――。房総半島中部に位置する千葉県君津市にある洞窟が、人気を呼んでいる。
以前は地元の人くらいしか知らない地味な場所だったが、中を流れる小さな滝の神秘的な光景がインターネットの画像共有サービス「インスタグラム」に投稿されて話題となった。週末になると大勢の観光客が押し寄せているという。
きっかけとなった一枚の写真は昨秋、インスタグラムに投稿された。洞窟の中に差し込む日の光が、スポットライトのように岩肌と川面を照らす幻想的な“作品”だ。地名は明示されていなかったが、写真に添えられた「濃溝のうみぞの滝」という言葉から特定され、徐々に知られるようになった。昨年末以降、大型連休や週末を利用して訪れる人が目立つようになり、新たに撮影されて投稿される写真も増えてきている。
インスタグラムに投稿された写真には、絶賛するコメントが多く寄せられている。
「素晴らしい!絶景ですね」
「もののけ姫出てきそうです」
「Fantastic(素晴らしい)」や「Awesome(すげえ)」など、海外からも称賛する書き込みが相次いでいる。
この洞窟は、川の流れを変える「川廻まわし」という工法で約350年前の江戸時代末に掘られたと見られている。地元では「川廻しのトンネル」や岩の形から「亀岩の洞窟」などと呼ばれてきた。写真を見れば分かるように、削られた岩肌の奥行きはすぐ先が見通せるほどごく短い。それが絶妙なバランスとなって光を呼び込み、流れる水と合わせた芸術を誕生させる装置となったようだ。
インターネット上で写真を見た人から、君津市観光協会には「インスタグラムで見た風景の場所に行きたい」「濃溝の滝にはどうやって行けるのか」などの問い合わせが殺到。観光スポットとして特別なPRもしていなかったため、当初は「インスタグラム?」「濃溝の滝?」と首をかしげる職員もいた。しかし、今では、「新たな観光資源」(君津市観光課担当者)との期待も高いとか。
この滝があるのは、JR久留里線上総亀山駅から車で約10分の「清水渓流広場」。自家用車なら東京湾アクアラインを利用し都心から約1時間で行ける場所だ。ちなみに、濃溝の滝という呼び名は、近くの立ち寄り温泉(「濃溝温泉千寿の湯」)から来ているらしい。
広場から滝に向かう約1キロの遊歩道は新緑や紅葉も美しいが、初夏にはホタルの乱舞も見られるという。都会を離れ、光の芸術で心を休めるのも一興かもしれない。
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