閣僚の失言が止まらない。安倍政権の体質に疑問。 塚田一郎副国土交通相が辞任へ
道路整備を巡って安倍晋三首相と麻生太郎副総理兼財務相に「忖度(そんたく)した」と発言した塚田一郎副国土交通相が5日、辞任する見通しとなった。安倍首相が塚田氏の更迭を否定してから一転して幕引きを図った形だが、安倍政権では閣僚らの失言が相次ぎ、政権の体質が問われている。
今国会では、2月に競泳の池江璃花子選手が白血病を公表したことに対し、桜田義孝五輪担当相が「がっかりしている」などと発言。批判を浴び、謝罪と発言撤回に追い込まれたばかりだった。
2018年1月には、松本文明元副内閣相が、沖縄県で相次ぐ米軍ヘリのトラブルに関する国会での質問中に「それで何人が死んだんだ」とヤジを飛ばした責任を取り、辞任した。17年7月には稲田朋美元防衛相が自衛隊が南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣時の日報を「廃棄した」と虚偽報告した問題で批判され、東京都議選での失言も重なって防衛相を辞めた。
17年4月には、今村雅弘元復興相が東日本大震災について「まだ東北だったから良かった。これが首都圏に近かったりすると、甚大な被害があった」と述べ、辞任に追い込まれている。
一方で、麻生氏は前財務事務次官のセクハラ問題に関して「セクハラ罪っていう罪はない」と発言して批判を浴びたが、辞任はしなかった。昨年、週刊誌で「政治とカネ」の問題が取り上げられた片山さつき地方創生担当相は「名誉毀損(きそん)」だとして出版社を提訴後、詳細な説明を避けたまま続投している。
経済アナリストの森永卓郎さんは今回の塚田副国交相の「忖度発言」について「事実ではないと言うが、それにしてはリアリティーがあった。政権を揺るがす問題発言だ」と批判。そのうえで「歴代首相に比べ権力が強い安倍さんが長く政権の座にいるのだから、忖度が増えてくるのは当然だろう。政権を続けたいならば、論功行賞ではなく、きちんとした人材を起用すべきだ」と指摘した。
◇安倍政権閣僚らの最近の主な失言(肩書は当時)
2017年3月 務台俊介内閣府政務官
台風被害視察で長靴を持参せずに職員に背負わせた問題で「長靴業界はだいぶもうかったんじゃないか」=辞任
2017年4月
山本幸三地方創生担当相 訪日外国人を活用した地方創生を巡り、「一番のがんは文化学芸員だ。観光マインドが全くなく、一掃しないとだめだ」=謝罪・撤回
2017年4月
今村雅弘復興相 東日本大震災について「まだ東北だったから良かった」=辞任
2018年1月
松本文明副内閣相 沖縄で相次ぐ米軍ヘリを巡るトラブルに関し、共産党の代表質問中に「それで何人が死んだんだ」とヤジ=辞任
2019年2月
桜田義孝五輪担当相 競泳の池江璃花子選手の白血病公表について「本当にがっかりしている」=謝罪・撤回
2019年4月
塚田一郎副国土交通相 下関北九州道路建設に関し、安倍晋三首相らに「忖度(そんたく)した」=辞任の見通し