参議院選挙「田中家の議席」消える
国政選挙で初の「18歳選挙権」や、人口が少ない隣接区を統合する「合区」が導入された今回の参院選。さまざまな取り組みにもかかわらず、投票率は過去4番目の低さにとどまる。一方で、改憲勢力が3分の2に達し、改憲が政治課題として現実味を帯びるなか、戦後の社会も大きな曲がり角を迎えつつある。
故田中角栄元首相を義父に持つ民進党の田中直紀元防衛相(76)=参院新潟選挙区=は今回、4選を目指して比例代表に転じたが落選。1947年以降、角栄氏が引退した直後の約3年間を除き70年近くにわたって続いた「田中家の議席」を失った。
得票は2010年選挙で得た約44万票の5分の1にも届かなかった。田中氏は落選が確実となった11日午前4時半ごろ、新潟市中央区の事務所で、待っていた支持者ら約50人を前に「結果はしっかりと受け止め、これからは地域の一人として、地域の発展のために努力していきたい」と述べた。
田中家の議席を失った点については、記者団に「社会の変化に応じて『田中政治』は今後もいろいろな役割を果たせると思う。田中政治は評価されており、田中家としては誇りを持っているので、その点は変わりない」と強調した。角栄氏の長女で妻の真紀子元外相は12年衆院選で落選している。
田中家の国政の議席
◆田中角栄元首相
1947年(昭22)4月の衆院選で初当選。1985年に脳梗塞で倒れたが、翌1986年衆院選も、トップ当選。1990年衆院選には出馬せず、政界を引退。勤続43年、16回当選。
◆田中真紀子氏
1993年衆院選で初当選。秘書給与問題で2002年に議員辞職に追い込まれるが、2003年衆院選で復活当選。2012年衆院選で落選した。6回当選。
◆田中直紀氏
真紀子氏との結婚後、1983年衆院選で初当選(旧福島3区)。1996年衆院選で落選したが、1998年、参院に鞍替えし、新潟選挙区で初当選。これまで衆院で4回、参院で3回当選。