島田洋七 ビートたけしに命を助けられた 講義終盤、島田洋八に泣き崩れる
1980年代の漫才ブームを引っ張ったB&Bの島田洋七(66)が18日、テレビ朝日系の「しくじり先生 頂点を極めたのに大失敗SP」に出演し、ビートたけし(69)がブーム時に放った忘れられない名言を明かした。講義終盤、B&Bで相方の島田洋八(66)がサプライズ登場し、洋七が泣き崩れる一幕があった。
洋七は大阪で売れた後、さらなる飛躍を目指して東京に拠点を移した。コンビの名前はすでに知れ渡っていたことから、3000人入る演芸場に「芸人が200人来た」と振り返った。
その中で真剣な顔をして見ていたのがたけしだったという。たけしとの接点となったのは横山やすしさんだった。洋七に「東京のおもろい芸人を紹介するから行こう」と言い、千葉の食堂に連れて行かれた。初対面のころはお互いに距離を感じ、「島田くん」、「北野くん」と呼び合っていた。洋七は「タクシーで帰ろうと思ったらおれが500円でたけしが700円しかなかった。4、5時間歩いて帰った。それから付き合いが濃くなった」と明かした。
聞いていたオードリー若林は「色んな本にB&Bが東京に来なかったら漫才ブームは起こってないってあります」と話すと、洋七は「たけしもそういうことを言います。売れた時にたけしと飲みに行って」と、たけしの言葉を紹介した。
「俺らは売れて良かったと思うけど、俺らが売れた分、売れなくなった人がいっぱいいる。そこを分かって頑張ろうな」というもので、洋七は「オッサンはすごい」とたたえた。
その後、仕事が無くなって「死」がよぎったことを明かした。その時に救ってくれたのがビートたけし(69)だったという。
漫才ブームが終わり、それでもたけしや島田紳助さんが活躍する中、自身は1982年を境に仕事が無くなったことを振り返った。洋七は「なぜ差が生まれたのか」と自身に問いかけ、「ブームの次の展開を考えていなかった」と分析した。
洋七はサイドビジネスに手を出したが失敗。「もう生きていてもしかたない」と睡眠薬の服用を考えるようになった。「たけしはガンガン仕事するのにオレにはすることがない」と自己嫌悪に陥り、不眠症になった。睡眠薬を手に「これ飲んだら楽やな」「何も考ええんでええ」と思い巡った。洋七は「ばあちゃんから人生を人と比べるなと言われたのに比べてしまった」と悔いた。
ついに睡眠薬を飲もうとした時、突然電話がかかってきたという。携帯ない時代だった。受話器を取るとたけしだった。「今から飲みに行くぞ。降りてこい」とたけし。洋七が「雨だから行きたくない」と断ると、たけしは「下で待ってるから降りてこい」と六本木に連れて行かれた。
たけしが「元気ねえな」と言うと。洋七は「そんなことない」と強がったが、「なんか分かってたみたい」と振り返った。
洋七が「芸能界やめて広島に帰ろうかな」とこぼすと、たけしは「芸能界やめたら友達やめるぜ」と言い、「芸人だから友達だろ。くだらんことしてきただろう。俺ら。田舎に帰って真面目な仕事する真面目なお前とオレはどう付き合うんだ」と諭すように告げたという。
たけしは「明日からオレのメシ作ってよ」と言い、洋七はたけし軍団のぶんまで作るようになった。あるとき、軍団のメンバーの話し声が聞こえた。「殿が相当心配してたな」というものだった。「洋七から目を離すなよ」とも言っていたそうで、洋七が変な気を起こすことを警戒して側に置いておこうとしたという。
洋七は「それでメシ作ってよって。あいつは上から目線で言う人間じゃない。料理作りながらめっちゃ泣いた。たけしは何も言わんもん」と涙目になった。
1980年代の漫才ブームの絶頂期には8500万円もの月収があったという洋七。ブームの終了で仕事がなくなり、参院選に立候補し落選、親友のビートたけし(69)から支援を受けながら生活し、著作「佐賀のがばいばあちゃん」が大ヒットと、上昇と下降を繰り返した。その間には「もう一度漫才をやりたい」と何度も言い出し、「ええで」と即答して支え続けた洋八の姿があった。
「人の話を聞かずに思いつきで行動してしまう」性格が災いし、しくじり続けてきたという洋七。だが祖母からの助言、「がばいばあちゃん」はたけしのアドバイスで出版、と、人の話を聞くことの大切さを実感したと話した。そして洋八へ「35年にわたって3回も4回も解散して戻ってきてくれるやつはおりません」と感謝の言葉を口にし始めた時に洋八が登場。パニクったか照れ隠しか、洋七は洋八にテキストを投げつけた。
「ホンマわがままやった…」と涙ぐんで握手をする洋七。洋八は「この人がいたから今ここにいある。こっちが感謝したい。(洋七は)好きなようにやってはじめて芸が磨かれる。自由に漫才やらせてあげたい」と極端に洋七がしゃべり倒すB&Bのスタイルにつきあい続けた理由を明かした。
生徒役の平成ノブシコブシ・吉村崇(36)は「まれに見るコンビ愛じゃないですか」としくじりストーリーから一転した漫才界レジェンドの絆に感激した様子だった。