イスラム国の国内浸透に不安 バングラデシュ、ダッカ襲撃受け2日間服喪
バングラデシュは3日、首都ダッカ(Dhaka)で起きた飲食店襲撃事件で外国人を中心とした人質20人が殺害されたことを受け、2日間の服喪期間に入った。
事件については、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が犯行声明を出している。シェイク・ハシナ・ワゼド(Sheikh Hasina Wajed)首相(68)は2日のテレビ演説で、世界有数の人口を抱えるバングラデシュを「失敗国家(failed state)」にしようとする動きがあると警告し、バングラデシュを危機の淵から引き戻す決意を表明した。
ハシナ首相は、一連の事件の背後にいる勢力が、人口1億6000万人のほとんどをイスラム教徒が占めているバングラデシュの破壊を企てていると発言。この勢力が「無実の人々に銃を突き付け人質に取ることで、この国を失敗国家にしたいと考えている」と語った。
官庁をはじめとする全国各地の建物には半旗が掲げられている。人質に取られて死亡したバングラデシュ人2人の葬儀も行われる予定だ。
従来ハシナ政権は、宗教的少数派や外国人に対する攻撃で死者が出た場合、国内の反体制派による犯行だとの認識を示してきた。ただ、今回の事件を受けて、ISが国内に浸透しつつあるとの不安が高まると予想される。
バングラデシュ当局は先月、国内のイスラム過激派に対する取り締まりに乗り出し、1万1000人以上を逮捕した。ただ、恣意的(しいてき)な逮捕で、反体制派を弾圧する意図があったとの批判もある。
国内最大のイスラム政党「イスラム協会(JI)」は、1971年のパキスタンからの独立戦争時の戦争犯罪に関連して多くの幹部が逮捕されたり、裁判にかけられて死刑を執行されたりした。イスラム協会は選挙への立候補者の擁立が禁止されている。