毎月28万円の所得保障は是か非か、スイスで来月国民投票
【AFP=時事】スイス・ジュネーブ(Geneva)で14日、ベーシック・インカム(最低所得保障)制度の導入を求める団体の巨大ポスターが公開され、ギネスブック(Guinness Book of World Records)の世界記録に認定された。
ポスターの大きさは8115平方メートル。黒いシートに「所得が保証されたら、あなたはどうしますか?」という意味の英語が金色の文字で書かれている。
ジュネーブ中心部のプランパレ(Plainpalais)広場でこのポスターを公開した団体「ベーシック・インカム・スイス(Basic Income Switzerland)」は、財政が豊かな同国の全成人を対象に、毎月の最低所得を2500スイス・フラン(約28万円)にするよう求めている。
ギネス記録に挑戦したことについて質問されたベーシック・インカム・スイスの広報担当者は、最低所得保障の問題は「地球上で最大の問い」なのだから、物理的にも文字通り世界一大きな問いとして提示したかったと述べた。
ベーシック・インカム制度の賛成派は昨年10月、国民投票の実施要件である10万人を超える署名を政府に提出。これを受けて導入の可否をめぐる国民投票が来月5日に実施されることになった。
ベーシック・インカムは最低賃金とは別のもので、失業保険の受給資格がない人々や申請を希望しない人を含むスイスの全成人に、1か月につき少なくとも2500スイス・フランの所得を法律で保障するという内容。
賛成派は、ベーシック・インカムは所得と仕事とのつながりを切り離すセーフティーネットになると主張している。一方で専門家からは導入すれば増税が必要になるのはほぼ確実だとする意見のほか、勤労意欲が失われると不安視する声も上がっている。
ベーシック・インカム・スイスは、不本意な仕事を拒否し、基本的な生活費が保障された状態で関心のある事柄を追求する自由があるべきだと主張している。
なお、これまでのギネス記録は、エクストリーム・スポーツで有名になった平和活動家のファリード・ラフタ(Fareed Lafta)氏がイラク中部カルバラ(Karbala)で公開したポスターの7165平方メートルだった。